会長挨拶
この度、第29回 日本SIDS・乳幼児突然死予防学会学術集会長を拝命致しましたこと、会員の皆様には厚く御礼申し上げます。会期を2024年2月10日(土曜日)~11日(日曜日)とし、北九州市(北九州国際会議場)で開催することといたしました。学会場に於いて会員同士が直接質疑応答を行う機会も必要と考え、現地開催を予定しております。
北九州での開催は当学会前理事長の故市川光太郎八幡病院名誉院長が開催した第9回以来の二十年ぶりとなります。1980年代の北九州市立八幡病院小児科創成期から小児救急の視点から医療の隙間で行き場を無くした子どもと家族に率先して「寄り添う医療」を目指して私自身その後ろを追いかけてきました。
メインテーマを「未来に繋ぐ最後の医療」とさせていただきました。子どもの死を前にして社会制度や医療の隙間で葬られる子どもたちへの最後の医療の質の向上を目指しています。残念ながら失った子どもたちの命から得られる様々な情報からその限界を知りつつも「最後の記録(カルテ)」を書き上げ、次世代に残していく責務があります。蓄積されたこの業務は、必然的に残された家族への「寄り添う医療とは何か」の答えになると信じています。
特別講演と教育講演の講師には、九州地区のご出身の先生を中心に、北九州市立八幡病院で共に専従した同門の先生、さらに十数年来の小児救急医療関連でご指導いただいている先生に、小児突然死に関連した各々の造詣深い最新の話題をご依頼させていただきました。快くお引き受けいただいた先生と共に乳幼児の突然死のみならず幅広く小児突然死を議論できる学術集会となりました。シンポジウムでは、SIDSの診断基準の話題、乳幼児に対する法医解剖の基礎と実践、医療的ケア児のチャイルド・デス・レビューの課題を学術集会を支える理事・評議員の先生方に企画担当していただきました。いづれも重要なテーマであり、本邦の小児突然死医学の礎になるものと期待しております。
本学術集会が「子どもの死亡を防ぐ」事に日夜真摯に取り組んでおられる方方の研鑽の場として役立つことを心より願っております。
2024年1月吉日
社会医療法人聖ルチア会 聖ルチア病院
神薗 淳司